当たったらどうすんだよ

当たらなければどうということはない

3D CGテクスチャリングを2歩か3歩進めたい! 1:UVの考え方編

今回から3D CGに必須のテクスチャリングについて少し書きます。
例のごとくBlenderを対象アプリケーションにしていますが、どんな3Dソフトでもまったく同じ考え方が通用します。基礎の基礎をきちんと理解して、その応用として高度なテクスチャリングを作れる「入口」に到達していただくのが目的です。

よくある解説では、UV展開のやり方そのものをソフトウエアの機能をベースに解説しています。なぜUVが必要か?はともかく、どういうUVが良いの?という部分がすっぽり抜けていて、いきなりシーム引いて展開コマンド入れるとほらできた!みたいな記事になっていることが多く、それでは機能解説に過ぎないのです。

今回のお題

f:id:kanianthi:20160619012453j:plainBlenderのシーンに現れたUV3人衆です。

とりあえずこいつらのUVを「きちんと開ける」ようになることが最初のステップです。多少複雑なモデルやキャラクタになったとしても、この3つを的確にUV展開できるようになっていればあとはその応用に過ぎません。

最初の敵:立方体は一番面倒

立方体というかサイコロ…こいつがですね、なかなかどうして難敵です。ハードサーフェースモデリングでも出てくる問題がいきなり発生します。

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↑ちなみにBlenderに最近備わったのがコレ。
デフォルトでプリミティブにUVをつけてくれます。なんだいきなり解決じゃない!って?そんなわけありませんw

UVの展開法ではなく、展開するための考え方を説明するために、敢えて自動生成したUVで「あー面倒くせー!」って状況を実感していただくことが目的です。

さて…こうやってUVを自動生成した立方体に、いきなりテクスチャリングをしてみましょう。TABキーなどでテクスチャペイントモードを選択するだけです。

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すると↑の画面になるはずです。
立方体がマゼンタ色に見えているのは、まだマテリアルもテクスチャも設定(生成)されていないからです。

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そこで、ペイントスロットを追加します。Blenderには上記のペイントスロットが備わっていて、なにげにいろんなテクスチャを塗れます。PBR時代の今では若干古臭いスロットもあるにはありますが、かなり高機能ですね。

今回はディフューズ色を作成します。ブランクテクスチャが生成されて、立方体が真っ黒になれば正解です。続いて画面下のペインをUV/画像エディターにしましょう。

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↑今回はBlenderのペイント機能を解説したいわけではないので、ちゃちゃっとマウスで「あいうえお か」を書きました。立方体なので6面あります。UVエディタには、まさに「サイコロの展開図」が表示されています。

さていきなり分かることは…文字の向きが「えかいお」と「あ う」で上下が逆転していることですね。これは現実に立方体を展開してみてもまったく同じ問題に遭遇します。UV展開ができた!よし塗るぞ!とフォトショップなどでテクスチャを描いてみたら…上下があちこちでおかしくなってしまった!なんて状況は、以前よくありましたw

ただし最近では、どんな風にUVを展開していたとしても、Blenderのペイント機能やフォトショップの3Dペイント、Zbrushなどを利用してサンジゲンのオブジェクトに直接ペイントすることが可能になりましたので、随分と楽です。

UVの考え方、そのいち

というわけで、今ほど体験した通りです。UV展開したー!よし塗るぞー!あれ?上下違うじゃねーか!!というのは、かなりよくあるお話しです。しかしこれは、UVに特有の問題なわけではありません。

立体物を二次元に投影/展開すると必ず起きる問題

なのです。

そこで、今のように3Dペインティングが普及していなかった時代にはUVレイアウトを画像として出力し、それをテンプレに2Dソフトでテクスチャリングしていたので…

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↑のように、すべてのUVアイランドでテクスチャの方向が一致するようにすべてYアップにしておいたりなど、テクスチャを2Dの状態で描きやすいように配置するなどの工夫がありました。

現在でも、3Dペインティングの修正や補正にフォトショップなどの2Dワークフローを利用することはよくあります。そのときに「2DペイントしやすいUV」だったら、修正作業もとても楽になります。

このようにUV展開では、その後の作業を見据えた、テクスチャリングを楽にする展開と配置が大事になりますよ!というところで今回はここまで。

次回もUVの実践的な考え方について進めていきます。